「インプラントの見た目が気になる」「特に歯と歯の間の歯ぐきが自然に見えるか心配」──そんなお声をよくいただきます。実は、インプラントを2本並べて入れる場合、歯間の歯ぐき(歯間乳頭)を保つのは非常に難しいことが知られています。
今回は、そうした課題に対して非常に有効とされる「修正ソケットシールドテクニック(改良型SST)」について、専門論文をもとに当院の治療への応用をご紹介します。
論文タイトル:
Papilla preservation between two implants: a modified socket-shield technique to maintain the scalloped anatomy? A case report
著者:
Fabrice Cherel, DDS, MS / Daniel Etienne, DDS, MS
掲載誌:
Quintessence International. 2014 Jan;45(1):23–30
PubMed ID / DOI:
PMID: 24392492 / DOI: 10.3290/j.qi.a30765
リンク:
PubMedで論文を確認
論文の概要:隣り合うインプラント間の歯ぐきを守る新たなアプローチ
この論文では、上顎前歯部において2本の隣り合うインプラントを即時埋入しながら、歯間乳頭(歯と歯の間の歯ぐき)と骨の高さを維持する方法として「改良型ソケットシールドテクニック」が紹介されています。
従来のSSTでは歯の唇側(前面)の根を残すことが一般的ですが、この症例では隣接面(近心・遠心)の根片を残すことで歯間の骨を守るという工夫が加えられました。
患者は喫煙者であり、抜歯すべき2本の歯には感染が見られたため、本来なら予後が難しい症例ですが、根片の選択的温存・即時インプラント埋入・仮歯の即時装着を組み合わせたことで、11カ月後の時点で自然な歯ぐきのライン(スキャロップ)と歯間乳頭が見事に維持されていたと報告されています。
当院での応用:患者様に負担をかけず、自然な仕上がりへ
松本デンタルオフィス東京では、この論文の知見を基に、前歯の複数歯にわたるインプラント治療において、見た目の自然さと長期安定性を両立させる治療を目指しています。
特に以下のような工夫を行っています:
- ・感染歯でも安全に即時インプラントが行えるように、徹底した洗浄と除菌を実施
- ・インプラントの位置設計を精密に調整し、歯間乳頭のスペースを確保
- ・圧力をかけない仮歯(プロビジョナル)で歯ぐきを優しく誘導
これらにより、外科的負担を最小限に抑えつつ、美しい口元を回復することが可能になっています。
患者様にとってのメリット
- ・前歯のインプラント治療でも、自然な歯ぐきの形(歯間乳頭)を維持できる可能性が高い
- ・仮歯をすぐに入れることで、治療中でも見た目を保てる
- ・従来よりも骨や歯ぐきの痩せを抑え、長期安定性につながる
このようなメリットがある一方で、すべての症例に適応できるわけではありません。根の状態、骨の質、喫煙習慣など、多くの要因を考慮して慎重に診断・治療計画を行います。
まとめ:より自然で美しいインプラント治療へ
従来、2本のインプラントを並べて埋入する場合、歯ぐきの形を美しく保つのは難しいとされてきました。しかし、今回ご紹介した「改良型ソケットシールドテクニック」は、その課題に新たな可能性を示しています。
当院では、このような先進的かつ科学的に裏付けられた技術を取り入れ、見た目も機能も妥協しないインプラント治療をご提供しています。
「前歯をインプラントにしたいけれど見た目が心配」
「なるべく歯ぐきの形を自然に保ちたい」
──そんな方は、ぜひ一度ご相談ください。
『 東京審美インプラント治療ガイド 』
監修:松本デンタルオフィス東京
所在地:東京都東大和市清原4丁目10−27 M‐ONEビル 2F
電話:042-569-8127
*監修者
医療法人社団桜風会 松本デンタルオフィス
院長 松本圭史
*経歴
2005年 日本大学歯学部卒業。2005年 日本大学歯学部歯科補綴学第Ⅲ講座 入局。
2006年 日本大学歯学部大学院 入学。2010年 同上 卒業。
2010年 日本大学歯学部歯学部歯科補綴学第Ⅲ講座 助教
2013年 日本大学歯学部歯学部歯科補綴学第Ⅲ講座 専修医
2016年 医療法人社団桜風会 松本デンタルオフィス 新規開院
*所属学会
・日本補綴歯科学会
・日本口腔インプラント学会
・日本歯科審美学会
・日本顎咬合学会
*スタディグループ
・5-D Japan
・Esthetic Explores
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