論文集

2025.07.18

ソケットシールドテクニックの臨床応用②──Chenら(2013年)の論文をもとに

ソケットシールドテクニックの臨床応用②──Chenら(2013年)の論文をもとに

 

ソケットシールドテクニックの臨床応用──Chenら(2013年)の論文をもとに

近年、インプラント治療において審美性・長期安定性を追求する中で注目されている手法のひとつに「ソケットシールドテクニック(Socket Shield Technique:SST)」があります。

今回は、SSTの臨床的な意義やその活用条件を丁寧に解説した文献、Chenらによる2013年の論文をご紹介しながら、当院での取り組みについてもお伝えします。

 


■ 論文の概要

この論文「Socket Shield Technique for Ridge Preservation」は、SSTの概念実証研究(Hürzelerら, 2010)に続く、より実践的な内容に踏み込んだ文献です。

著者のChen STらは、SSTの目的として「抜歯による歯槽堤(あごの骨と歯ぐき)の吸収を最小限にとどめること」に注目し、そのための条件・方法・限界について論じています。

特に、頬側歯根の保存による骨と軟組織の保護効果に注目しながら、安全かつ予知性の高い治療を実現するためには、厳密な症例選択と技術的熟練が必要であるとしています。

Chen ST, Buser D.
Socket Shield Technique for Ridge Preservation: A Proof-of-Principle Technique.
J Clin Periodontol. 2013 Sep;40(9):887–893. PMID: 24000791


 

論文で示された主なポイント

  • 頬側の歯根片を残すことで歯槽骨と軟組織の吸収が抑制される可能性
  • インプラントと残存歯根の関係性についての組織学的評価
  • 適応症例には歯根に感染がなく、外科的にコントロール可能な条件が必要
  • 技術的には高難度であり、経験豊富な術者による対応が推奨される

 

松本デンタルオフィス東京での活用

私たちの医院では、SSTをすべてのケースに適応しているわけではありません。
重要なのは、「この手法が患者様にとって最良の選択かどうか」を丁寧に見極めることです。

Chenらの論文は、SSTを取り入れる上での明確な判断基準とガイドラインを与えてくれます。
論文で述べられているように、感染や破折がなく、適切な条件が整ったケースに限り、当院ではSSTの選択を検討します。

また、SSTの利点は何よりも審美性と自然な歯ぐきのラインを守れることにあります。
患者様が将来にわたり自然な笑顔で過ごせるよう、科学的根拠に基づいた選択を大切にしています。

 

まとめ

インプラント治療が進化するなかで、骨や歯ぐきを守るためのアプローチも日々発展しています。
Chenら(2013年)の論文は、SSTを単なるテクニックではなく、生体に優しい治療法としてどう活かすかを考えるうえで貴重な指針となります。

今後も、最新の知見と豊富な経験に基づいたインプラント治療を提供してまいります。

 

『 東京審美インプラント治療ガイド 』
監修:松本デンタルオフィス東京
所在地:東京都東大和市清原4丁目10−27 M‐ONEビル 2F

電話:042-569-8127

 

 *監修者
医療法人社団桜風会 松本デンタルオフィス
院長 松本圭史
*経歴
2005年 日本大学歯学部卒業。2005年 日本大学歯学部歯科補綴学第Ⅲ講座 入局。
2006年 日本大学歯学部大学院 入学。2010年 同上 卒業。
2010年 日本大学歯学部歯学部歯科補綴学第Ⅲ講座 助教
2013年 日本大学歯学部歯学部歯科補綴学第Ⅲ講座 専修医
2016年 医療法人社団桜風会 松本デンタルオフィス 新規開院
*所属学会

日本補綴歯科学会
日本口腔インプラント学会
日本歯科審美学会
日本顎咬合学会
*スタディグループ
5-D Japan
Esthetic Explores

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