1. インプラントをしたいのに“骨が足りない”…そんなときどうする?
骨が少ないとインプラントはできない?よくある誤解
「インプラント治療に興味があるけれど、骨が足りないと言われた」――こうしたご相談は、近年とても増えています。歯を失って時間が経つと、顎の骨(歯槽骨)が自然と痩せてしまい、インプラントの土台としての役割を果たしにくくなることがあります。
確かに、インプラントは「骨の中に人工歯根を埋める治療」であるため、骨の量と質がしっかりと確保されていることが前提となります。しかし、「骨が少ない=インプラントは不可能」と早合点して、治療をあきらめてしまう方も多くいらっしゃいます。
実はこの考えは一部正解で、一部誤解でもあります。現代の歯科医療では、「骨が足りないなら、骨を増やす」という選択肢が確立されているのです。
骨が足りない=諦めるではなく“骨を増やす”という選択
歯科領域には「骨造成(こつぞうせい)」という治療があります。これは、骨が不足している部分に人工骨や自家骨などを用いて骨の再生を促す技術です。骨を足すことができれば、インプラント治療を安全に行うことが可能になります。
骨造成の手法にはいくつかのバリエーションがありますが、どれも「安全性」「生体親和性」「感染リスクの低減」が十分に検討されたうえで行われます。歯周病や外傷、長期的な欠損放置によって顎の骨が減ってしまっている方でも、適切な骨造成を行えば、インプラント治療への道がひらけるのです。
治療のタイミングによっては、骨造成とインプラント埋入を同時に行うケース(同時法)と、骨造成を先に行って数ヶ月の治癒期間を待った後にインプラントを埋入するケース(段階的治療)に分かれます。どちらが適しているかは、CTなどによる精密検査で判断されます。
骨造成で広がるインプラント治療の可能性
骨造成によって、以前は「無理」とされた難症例にも対応できるようになりました。たとえば、上顎の奥歯の部分は、もともと骨の高さが少ないうえに、上顎洞という空洞が存在するため、インプラントが難しいとされてきました。こうした部位には「ソケットリフト」や「サイナスリフト」といった専用の骨造成法を用いることで、対応が可能になります。
また、下顎の前歯部分でも、骨が薄くて断られることの多かったケースでも、「GBR法」などの骨誘導再生法によって治療が可能になってきています。
さらに最近では、骨造成材やメンブレン(再生膜)などの進歩によって、より短期間かつ高い成功率で骨再生が可能となりつつあります。これは、インプラント治療に対する敷居を下げると同時に、患者様に新たな選択肢と希望をもたらすものです。
骨が少ないと診断されたからといって、必ずしもインプラント治療をあきらめる必要はありません。医療機関によって骨造成の対応範囲や設備が異なるため、セカンドオピニオンを受けることで可能性が見えてくることもあります。
当院では、歯科用CTによる精密診断、治療部位のシミュレーション、骨の状態に応じた骨造成の適応診断を丁寧に行っております。患者様の状態やご希望に応じた治療法をご提案し、安心してインプラント治療を受けていただける体制を整えています。
「骨が足りないから…」と不安に思われている方こそ、一度ご相談ください。インプラント治療を諦めないための第一歩を、私たちが全力でサポートいたします。
2. 骨造成とは?歯科でできる“再生治療”のひとつ
骨造成はどんな治療?仕組みをやさしく解説
「骨造成(こつぞうせい)」とは、インプラント治療に必要な骨の量が足りない場合に、骨を再生・補填していく再生治療のことを指します。インプラントは人工歯根を顎の骨に埋め込むため、しっかりとした“骨の土台”が必要です。しかし、歯周病や抜歯後の放置、加齢などによって骨が減ってしまっているケースも少なくありません。
そのような場合でも、骨造成という技術を用いれば、足りない部分に人工の骨や自分自身の骨を補って新たな骨の形成を促すことができ、インプラント治療の可能性を広げることができます。骨造成は単なる補綴ではなく、体の組織再生を利用した医療技術であり、近年の歯科再生医療の発展により、安全性と精度が大きく向上しています。
どんな材料を使って骨を再生するのか
骨造成に用いられる材料には、主に3つの種類があります。ひとつは「自家骨」と呼ばれる患者様ご自身の骨。主に口腔内(顎の別部位)や、必要に応じて腰の骨などから採取されます。自分の骨であるため適合性が高く、骨再生の効果が最も高いとされています。
二つ目は「人工骨」。人工的に作られた骨補填材で、近年では安全性や生体適合性が大きく進歩しています。感染リスクが少なく、採取の必要がないため患者様の身体的負担も軽減されるのが特徴です。
三つ目は「他家骨」や「異種骨」と呼ばれる、他人や動物から採取された骨を加工したものですが、日本では安全性の観点から使用が限定的です。現在の日本の臨床では、自家骨や人工骨が主流です。
また、骨造成の成功には「メンブレン(再生膜)」という特殊な膜が重要な役割を果たします。この膜は、再生させたい骨のスペースを確保し、不要な細胞が入り込むのを防ぐ役割があります。骨補填材と組み合わせて使うことで、骨再生の成功率が飛躍的に高まるのです。
自分の骨?人工骨?ケースによって異なる選択肢
骨造成で使う材料は、患者様の状態や治療方針によって異なります。例えば、小規模な骨欠損であれば人工骨のみで対応可能なケースが多く、治療期間も比較的短く済みます。一方、広範囲に骨が失われている場合は、自家骨の併用や、骨造成とインプラント埋入を分けて行う“段階的治療”が適応されます。
骨の厚みや高さだけでなく、骨質(骨密度)や全身の健康状態、喫煙習慣の有無なども判断材料になります。特に糖尿病や骨粗鬆症などをお持ちの方は、再生能力や感染リスクへの配慮も必要です。
また、「前歯なのか奥歯なのか」「上顎か下顎か」によっても、骨造成の方法や素材の選び方が変わってきます。例えば上顎の奥歯では「サイナスリフト」や「ソケットリフト」など、上顎洞に配慮した手技が求められます。
当院では、歯科用CTによる精密な診断をもとに、どの治療法・材料が適しているかをしっかりと見極め、患者様一人ひとりに最適な治療計画をご提案しています。単に“骨を足す”だけでなく、“長期的に安定した噛める環境を作る”ことを目指した診療を行っております。
「骨造成」と聞くと不安に思われる方も多いかもしれませんが、今では高度な技術と材料によって、身体への負担を抑えながら安全に行える治療となっています。「骨が足りないかも」と感じている方も、ぜひ一度ご相談ください。
3. なぜ骨が足りなくなるのか?原因と背景
歯を失ったまま放置すると骨が減ってしまう理由
インプラント治療を検討している患者様の中には、「骨が足りない」と言われて初めて、その重要性に気づく方も少なくありません。では、なぜ顎の骨が足りなくなるのでしょうか。その最大の理由は、“歯を失ったまま放置した”ことにあります。
私たちの顎の骨(歯槽骨)は、歯が存在して噛む力を受けることで、その刺激に応じて維持されています。ところが歯を失うと、その部位には刺激が加わらなくなり、骨の吸収(いわゆる“痩せ”)が急速に進行します。この現象は、特に抜歯後の数カ月〜1年以内に顕著に起こることが多く、顎の骨は思っている以上に早く、そして大きく減ってしまうのです。
たとえば、前歯を1本失っただけでも、骨の高さや厚みが数ミリ単位で減少することがあり、そのままではインプラントを安全に埋入できない場合もあります。また、奥歯の場合は噛む力が大きくかかるため、よりしっかりとした骨の支持が求められますが、骨の吸収が進行してしまうとインプラントどころか、入れ歯の安定性さえ難しくなることもあるのです。
歯周病による骨吸収も見逃せないリスク
もうひとつの大きな原因が、歯周病による「骨吸収」です。歯周病は、歯を支える骨が細菌によって炎症を起こし、徐々に破壊されていく病気です。初期は自覚症状が乏しく、「なんとなく歯ぐきが腫れている」「歯が浮いた感じがする」といった軽度の違和感にとどまることが多いため、気づいたときにはかなり進行してしまっているケースも珍しくありません。
重度の歯周病になると、歯を失うだけでなく、その下の骨も大きく失われてしまいます。しかも、歯周病の進行は1本だけではとどまらず、周囲の歯にも影響を及ぼすため、複数本の歯を失い、その結果として広範囲の骨造成が必要になることもあります。
また、歯周病にかかっていた患者様の場合、骨造成を行う前にまず歯周病の治療をしっかり行い、口腔内環境を整えておくことが重要です。骨を再生しても、その原因が残ったままでは、再び炎症を起こすリスクがあるからです。
過去の抜歯・トラブルの影響も要チェック
さらに、過去に受けた抜歯や歯の治療の影響で骨が減ってしまっているケースも少なくありません。たとえば、虫歯や根管治療が原因で抜歯となり、その後、何の補綴もせずに数年放置された場合、骨は大きく痩せてしまいます。
また、抜歯時の処置が不十分だった場合や、歯の周囲に感染が広がっていたケースでは、骨の損失がより顕著になる傾向があります。こうした「過去のトラブルの蓄積」が、インプラント治療の選択肢を狭めてしまう要因にもなるのです。
さらには、事故やスポーツ外傷などによって歯と骨を同時に失ってしまった場合や、矯正治療中の過剰な力によって局所的に骨が吸収されるケースなども報告されています。
このように、「骨が足りない」と言われる背景には、さまざまな原因が複雑に絡み合っています。ですが、逆に言えば、その原因や状態をしっかり把握することで、“骨を増やしてインプラントが可能になる”道が開けるということでもあります。
当院では、歯科用CTによる立体的な骨評価を行い、「なぜ骨が足りないのか」「どのような再生方法が適しているか」を科学的な根拠に基づいて判断します。
「昔の治療が原因かもしれない」「歯周病を繰り返している」といった心当たりがある方も、まずは一度ご相談ください。骨の状態を的確に把握することが、未来の治療の可能性を広げる第一歩となります。
4. 骨造成の種類と選び方
GBR法・ソケットリフト・サイナスリフトとは?
インプラント治療を検討する際、「骨が足りない」と言われることがあります。その場合に選択されるのが「骨造成」と呼ばれる再生治療です。実はこの骨造成には複数の種類があり、患者様のお口の状態やインプラントを入れる部位によって適した方法が異なります。
代表的な骨造成法として「GBR法(骨誘導再生法)」「ソケットリフト」「サイナスリフト」の3つがあります。
GBR法は、歯槽骨の幅や高さが不足している部位に、人工骨などの骨補填材と特殊な膜(メンブレン)を用いて骨の再生を促す方法です。歯を抜いた後にすぐ行うこともあれば、抜歯後の骨吸収が進行した場合に後から実施することもあります。比較的広い範囲に応用可能で、多くのケースで採用されています。
ソケットリフトは、上顎の奥歯部分にインプラントを埋入する際、歯槽骨の厚みが足りない場合に行う方法です。上顎洞と呼ばれる空洞の粘膜(シュナイダー膜)を持ち上げ、そのスペースに骨補填材を入れてインプラントを同時に埋入する手法で、骨の高さが6mm以上あれば対応可能とされます。
一方でサイナスリフトは、さらに骨の高さが足りない(およそ5mm以下)の場合に行われるアプローチです。上顎洞に側方からアプローチし、大きくシュナイダー膜を挙上したうえで骨補填材を充填し、骨の再生を待ってからインプラントを埋入します。ソケットリフトよりも手術の負担は大きいものの、広範囲な骨不足にも対応できるのが特徴です。
上顎と下顎で異なる治療アプローチ
骨造成のアプローチは、インプラントを埋入する位置によっても変わります。特に顕著なのが「上顎」と「下顎」の違いです。上顎の奥歯部分には先述のように「上顎洞」が存在するため、骨の高さが不足しやすく、サイナスリフトやソケットリフトがよく行われます。
一方、下顎では顎の中にある神経(下歯槽神経)との距離が重要になります。骨の高さが不足している場合には、GBR法で骨の厚みや高さを補い、安全な位置にインプラントを埋入できるように調整する必要があります。
また、前歯部では審美性の観点から、骨の厚みや歯ぐきのラインの形成が特に重視されます。そのため、骨造成と同時に歯肉移植(結合組織移植術)などを併用することもあります。
骨の状態や部位によって最適な方法は変わる
骨造成の方法を選ぶ際に最も重要なのは、「どの方法が一番良いか」ではなく、「患者様のお口の状態に最も適しているかどうか」です。
たとえば、骨の吸収が部分的で軽度であればGBRだけで十分な場合もありますし、インプラントと同時に行えることで治療期間の短縮が可能になります。一方で骨が著しく減っている場合には、先に骨造成を行い、数ヶ月の治癒期間をおいた後にインプラントを埋入する“段階的治療”が必要になることもあります。
また、全身状態や喫煙習慣、歯周病の既往歴なども治療法選定に影響します。治癒能力や感染リスクが高い方には、より慎重な方法や術後管理が求められます。
当院では、CTによる立体的な画像診断をもとに、骨の状態を正確に把握し、患者様一人ひとりにとって最適な骨造成方法をご提案しています。決して「万能な方法」ではなく、「最も合う方法」を選ぶことが、治療の成功率を高める鍵なのです。
5. 骨造成の治療ステップと所要期間
骨造成からインプラント埋入までの流れ
骨造成は、単に「骨を増やす」というだけではなく、インプラントを成功させるための重要な準備段階です。実際の治療は数回に分けて行われ、治療計画や骨の状態に応じて異なるステップを踏みます。
まずは診査・診断。歯科用CTを用いて顎骨の状態を三次元的に評価し、骨の厚み・高さ・密度を確認します。この診断結果から、どの部位にどの方法の骨造成が必要かを決定し、治療計画を立案します。
次に、骨造成手術を行います。骨の再生材(人工骨、自家骨など)を骨の不足している部分に填入し、専用の膜で覆うことで新たな骨の成長を促します。上顎で骨の高さが不足している場合には、サイナスリフトやソケットリフトを組み合わせることもあります。
骨造成からインプラントの埋入までは、「同時埋入」と「二次手術(段階的埋入)」の2つの方法があります。骨がある程度残っている場合には、骨造成とインプラント埋入を同時に行うことで治療期間を短縮できます。一方、骨の吸収が著しいケースでは、骨造成だけを先に行い、数ヶ月後にインプラント埋入を行うのが一般的です。
治癒期間はどれくらい?いつから噛める?
骨造成の治癒期間は、使用する材料や患者様の体質、治療部位によって異なりますが、通常は3〜6ヶ月ほどかかるとされています。上顎よりも下顎の方が骨の密度が高く治癒が早い傾向があります。
骨造成を先行して行った場合、骨がしっかりと再生されてからでないとインプラントを埋入できません。また、インプラントを埋入した後も、骨との結合(オッセオインテグレーション)を待つためにさらに2〜4ヶ月の期間が必要になります。
つまり、骨造成から最終的に人工歯を装着して「噛める」ようになるまでは、最短でも5ヶ月〜半年以上かかるケースもあります。ただし、症例によっては仮歯を装着し、審美性や軽い咀嚼機能を確保しながら治療を進めることも可能です。
治療中に気をつけたい生活習慣と過ごし方
骨造成は繊細な再生医療です。治療を成功させるためには、術後の生活習慣やケアが非常に重要になります。
まず大切なのは、患部に過度な刺激を与えないこと。術後1週間は、患部側での咀嚼を避け、柔らかい食事を心がけましょう。強くうがいをしたり、ストローを使って飲み物を吸う行為もNGです。これらは血餅(かさぶた)をはがし、感染や治癒遅延を招く原因になります。
また、喫煙は骨の再生に悪影響を与える大きな要因です。タバコの成分が血管を収縮させ、骨の代謝を妨げることが科学的にも示されています。可能であれば禁煙を、少なくとも治療期間中の喫煙は控えることが望まれます。
日々のブラッシングやセルフケアも欠かせませんが、手術部位を強くこすらないよう注意が必要です。歯科衛生士によるメンテナンスも、感染リスクを下げ、治療の経過をスムーズに保つうえで有効です。
当院では、術後の経過観察を丁寧に行いながら、治癒を促進するアドバイスやケアを継続的に行っています。特に初期の1週間〜1ヶ月は再診を重ね、患者様と二人三脚で回復を見守ってまいります。
骨造成は確かに治療期間を要する処置ではありますが、その分、確実にインプラントを支える“土台”を整える大切なプロセスです。焦らず、着実に進めることが、長く快適に使えるインプラントへとつながるのです。
6. 痛みや腫れは?骨造成に対するよくある不安
麻酔や鎮静法での“痛みの管理”について
「骨を増やす手術って、やっぱり痛いのでは?」——骨造成という言葉に対して、そんな不安を抱える方は少なくありません。しかし、実際の治療では現代の歯科麻酔技術により、処置中の痛みはしっかりコントロールされています。
多くの場合、骨造成は局所麻酔を用いて行われます。歯ぐきや骨の処置部分だけにピンポイントで効かせることで、意識ははっきりしたままでも痛みを感じることはほとんどありません。
また、歯科恐怖症の方や、緊張で治療がつらいと感じる方には、静脈内鎮静法(いわゆる“うたた寝麻酔”)を併用することも可能です。この方法では、点滴でリラックス作用のある薬剤を投与するため、半分眠っているような状態で手術を受けることができます。
治療の内容・所要時間・患者様のご希望に応じて、麻酔の種類や方法は柔軟に調整されます。「痛みが怖くて踏み出せない」という方も、まずはお気軽にご相談ください。
術後の腫れや違和感はどの程度か
処置中は痛みを感じなくても、「手術後がつらいのでは?」と不安を抱かれる方も多いでしょう。確かに骨造成後は、腫れや違和感、軽度の痛みを伴うことが一般的です。ただし、これらは身体が「治そう」とする正常な反応であり、過度に心配する必要はありません。
腫れは多くの場合、手術後2〜3日目にピークを迎え、1週間程度で落ち着いていきます。頬が少しふくらんで見える、口が開きにくい、軽い鈍痛があるといった症状が現れることがありますが、これらは時間とともに自然に引いていきます。
痛みに関しては、術後に処方される鎮痛薬でコントロール可能なケースがほとんどです。「ズキズキと我慢できない痛み」が続くようであれば感染や異常のサインかもしれませんので、すぐにご連絡いただければ迅速に対応いたします。
なお、手術部位によって腫れやすさには個人差があります。特に上顎のサイナスリフトなどを伴う骨造成では、まれに鼻づまりや頬の腫れが強く出ることもありますが、術後指示を守ることで軽減できます。
不安な方でも安心できるサポート体制とは
骨造成に対して不安を抱く患者様のために、当院では術前・術中・術後すべての段階で安心いただけるよう、さまざまな取り組みを行っています。
まず、術前には丁寧なカウンセリングとシミュレーションをご提供。CT画像をもとに治療の流れを可視化し、痛みや腫れが起こるタイミング・程度についても事前に詳しくご説明しています。あらかじめ心の準備ができることで、不安はぐっと軽減されるものです。
手術当日は、患者様の緊張を和らげるための配慮も徹底しています。診療室は清潔で静かな環境を整え、スタッフ全員が優しく声をかけながら対応いたします。
術後は、痛み止めや抗生剤の服用タイミング、食事の注意点などを記載した「術後ケアガイド」をお渡しし、万が一のときはすぐに連絡できるようフォロー体制を整えています。定期的なチェックとLINEや電話でのサポート(※対応可能な医院のみ)も行い、不安を放置しない体制が整っています。
「痛いかも」「腫れるかも」という想像は、実際の症状よりも大きく不安を膨らませてしまいがちです。正しい知識と準備があれば、骨造成は決して“怖い治療”ではありません。
不安があれば、無理に我慢する必要はありません。私たちは、あなたの声に耳を傾け、できる限り負担の少ない方法をご提案します。安全に、そして安心して治療を受けていただけるよう、全力でサポートいたします。
7. “骨ができる”って本当?再生の仕組みと科学的根拠
骨が再生するメカニズムを簡単に解説
「骨を増やすって、そんなことが本当にできるの?」——骨造成のご説明をすると、多くの患者様が最初に驚かれます。確かに、骨は一度失われると自然には戻らないと思われがちですが、実は骨には“再生する力”が備わっており、歯科ではその力をうまく活かす治療法が確立されています。
骨造成(こつぞうせい)とは、失われた顎の骨を再生させるために、骨補填材(人工骨や自家骨)と特殊な膜(メンブレン)を用いて新たな骨の形成を促す再生医療の一種です。この治療は、生体が持つ“骨形成”の仕組みに沿って行われ、適切な環境さえ整えられれば、驚くほど自然に骨は作られていきます。
私たちの体は、骨折や損傷をすると自然に骨を修復しようとします。骨造成では、人工的にその「修復の場」を設け、骨細胞が活動しやすい環境を整えることで、同じように骨が再び作られるのです。
人工骨が自分の骨に置き換わる過程
骨造成に用いられる骨補填材には、いくつかの種類があります。主に使われるのは「自家骨(自分の骨)」「他家骨(他人の骨)」「異種骨(動物由来)」「人工骨(合成素材)」といったものですが、これらは単なる“埋め物”ではありません。
とくに現在主流となっている人工骨は、ハイドロキシアパタイトやβ-TCP(リン酸三カルシウム)といった素材からできており、生体親和性が高く、安全性も確立されています。これらの材料は埋入後、体内で次第に自分の骨へと置き換わっていく性質を持っています。
この「置き換わり(リモデリング)」は数ヶ月単位で進み、最終的にはほぼすべてが新しい骨組織に変わります。人工骨は“骨を呼び込む足場”として機能し、そこに骨芽細胞が集まり、自分自身の骨を形成していく——これが骨造成の根幹をなすメカニズムです。
特に近年では、骨再生を促進する成長因子(PRGFやBMP)を併用することで、再生スピードや質をさらに高めるアプローチも登場しており、技術は年々進化しています。
骨造成の安全性と成功率について
再生医療というと、どこか実験的でリスクが高い印象を持たれる方もいるかもしれません。しかし、骨造成はすでに30年以上にわたり世界中で行われている安全性の高い治療法です。国内外の研究では、その成功率は90%以上とされており、多くの臨床実績に裏打ちされた信頼性があります。
もちろん、骨の再生には個人差があります。喫煙や糖尿病、歯周病の有無といった全身状態が再生能力に影響を及ぼすこともあるため、術前の診査と丁寧な治療計画が欠かせません。
当院では、CTによる3D診断を通じて骨の形状や厚みを精密に分析し、患者様一人ひとりに最適な治療プランをご提案しています。また、再生がうまく進んでいるかどうかは、術後の経過観察によって適切に確認します。
万が一、骨の成長が不十分な場合でも、追加の補填や再造成を行うことで、インプラント治療を安全に進める道は十分にあります。再生医療だからといって不安になる必要はありません。
“骨ができるなんて信じられない”と思っていた方も、実際の仕組みを知ることで「なるほど、そういうことか」と安心して治療を受けられるようになります。
骨が足りない——それは終わりではなく、“新たに骨を作って備える”という前向きな選択肢があるということ。科学的根拠に基づいた再生医療は、今やインプラント治療の強い味方です。
8. 骨造成が必要になるケース・必要ないケース
CT診断で分かる“骨の量と質”の評価ポイント
インプラント治療において、「骨の量」と「骨の質」は成功を左右する最も重要な要素のひとつです。しかし、患者様ご自身ではその状態を正確に把握することは困難です。見た目には何の問題もなくても、CTで詳しく調べてみると、実は骨が薄かったり、高さが足りなかったりすることも珍しくありません。
当院では、歯科用CTを用いた三次元的な診断を行っています。これはレントゲンではわからない骨の厚みや高さ、密度(硬さ)などを立体的に確認できる技術であり、非常に正確な治療計画の立案に欠かせません。
たとえば、上顎の奥歯付近では、上顎洞という空洞が骨の高さを制限しており、そのままではインプラントを安定させることができないケースもあります。また、下顎では神経の位置に配慮しながら十分な骨幅があるかを慎重に見極める必要があります。
こうした精密診断によって、骨造成が「必要なのか」「不要なのか」「どの方法でどこに行うのが適切か」を判断します。
骨造成が不要なショートインプラントの可能性も
「骨が足りない」と言われると、「インプラントは難しいのかもしれない」と感じる方が多いかもしれません。ですが、近年では骨造成をせずに治療が可能なケースも増えてきました。その代表的な例が「ショートインプラント」と呼ばれる短めのインプラント体を使用した治療です。
ショートインプラントは、従来の10mm前後のインプラントに比べて長さが短く、6mm〜8mm程度でも高い安定性を得られるよう設計されています。これにより、骨造成を行わずに埋入できるケースが拡大し、患者様の身体的・経済的な負担軽減にもつながっています。
ただし、すべての患者様に適用できるわけではなく、噛む力が強すぎる部位や、骨の密度が極端に低い場合などでは従来の長さのインプラントが推奨されることもあります。そのため、適応の見極めは非常に重要です。
適応を見極めることが治療成功のカギ
骨造成をするかどうか、インプラントをどの位置に、どの角度で、どのようなサイズで入れるか——これらの判断は、インプラント治療の成功率を大きく左右します。そのため、精密な診断力と、骨造成やインプラントの両方に精通した経験豊富な歯科医師のもとで治療を進めることが大切です。
当院では、インプラント治療だけでなく、骨造成の症例も数多く経験してきた専門医が診断・治療を担当しております。必要なケースには確実に骨造成を行い、不必要な場合には無理に処置せず、患者様の体と時間、費用の負担を最小限に抑えたご提案を心がけています。
また、患者様のご希望やライフスタイルも考慮しながら、治療の選択肢をご説明いたします。「仕事の都合で治療期間を短くしたい」「できるだけ痛みの少ない方法でお願いしたい」など、お気軽にご相談ください。
骨造成が必要なケース、不要なケース、それぞれにメリット・デメリットがあるからこそ、「どちらを選ぶか」ではなく「どれが自分にとって最も合っているか」を一緒に考えていきましょう。
9. 当院の骨造成・再生治療への取り組み
高精度なCT診断と術前シミュレーション
骨造成を伴うインプラント治療では、治療の成功率を高めるために、術前の精密な診断が欠かせません。当院では、歯科用CTを活用し、患者様の顎の骨の厚み・高さ・密度などを立体的に可視化しています。
CT画像は2次元のレントゲンでは見落とされがちな骨の状態や神経・血管の位置までも正確に把握できるため、安全かつ効果的な治療計画の立案が可能になります。
また、CTデータをもとにした術前シミュレーションソフトを活用することで、インプラントの埋入位置や角度、骨造成の必要範囲を緻密に設計します。これにより、治療の精度を高めるだけでなく、患者様にも「見える形」で治療方針を共有できるため、安心して治療に臨んでいただけます。
骨再生材・設備へのこだわりと安全性の確保
当院では、骨造成に用いる再生材の品質にも徹底してこだわっています。使用する骨補填材やメンブレン(保護膜)は、医療機器としての厳格な基準をクリアした、安全性の高い素材のみを選定。
患者様の状態に応じて、自家骨(患者様自身の骨)や他家骨(他人由来の骨)、人工骨(ハイドロキシアパタイト・β-TCPなど)を適切に使い分けています。
また、オペは専用の個室手術室で行い、滅菌環境や感染対策を徹底。サージカルガイドやマイクロスコープなどの精密機器も活用し、ミリ単位の誤差も最小限に抑える高度な治療を実現しています。
インプラント専門医による丁寧なサポート体制
骨造成を伴うインプラント治療は、専門的な知識と豊富な経験を必要とする分野です。当院では、インプラント治療に精通したドクターが診査・診断・手術・メンテナンスまで一貫して担当いたします。
患者様とのカウンセリングでは、治療に伴うメリットだけでなく、ダウンタイムや費用、将来的なメンテナンスの必要性まで丁寧にご説明し、ご納得いただいたうえで治療に進みます。
また、術後の経過観察やトラブル時の迅速な対応も重要です。当院では、術後1週間・1か月・3か月と段階的なチェックを行い、骨の再生やインプラントの安定度を継続的にモニタリング。患者様が不安なく快適にお過ごしいただけるよう、術後サポート体制も整えています。
10. “骨が足りないから無理”をあきらめないで
骨造成があるから広がる治療の選択肢
かつては「顎の骨が足りないからインプラントはできない」と言われていた方でも、近年では「骨を増やす」という選択肢が加わったことで、多くの患者様にインプラント治療の道が開かれています。
骨造成は、顎の骨が不足している箇所に人工骨や自家骨を補い、骨の再生を促す治療法。これにより、従来なら難しいとされていた症例でも、安定したインプラント治療が可能になってきました。
「昔、断られた経験がある」「年齢的に無理かも」と感じている方も、最新の医療技術を踏まえて、もう一度治療の可能性を見直してみませんか?
他院で断られた方もまずはご相談を
当院には、「他の歯科医院で骨が足りないから無理と言われた」「抜歯から時間が経ってしまっているがインプラントはできるか」といったご相談が多く寄せられます。
そのようなケースでも、CT診断に基づく正確な骨の状態の評価や、骨造成の提案により、治療の選択肢が広がることがあります。
骨造成にもさまざまな方法があり、上顎か下顎か、部位の違い、骨の厚み・高さに応じて最適な術式を選択することで、無理なく安全な治療が可能となります。
不安や疑問を解消する無料カウンセリング実施中
インプラント治療や骨造成について、不安や疑問があるのは当然のことです。「痛みはあるのか」「腫れはどの程度なのか」「期間や費用はどれくらいかかるのか」——そうした疑問に丁寧にお答えするため、当院では無料カウンセリングを行っております。
カウンセリングでは、CT診断によって骨の状態を可視化しながら、必要な治療やその流れについて、専門医がわかりやすくご説明します。無理に治療を勧めることはありませんので、どうぞお気軽にご相談ください。
“骨が足りない”という不安を“可能性”へと変える。それが、私たちの骨造成治療にかける想いです。
インプラント治療を諦める前に、ぜひ一度、私たちにお話をお聞かせください。
『 東京審美インプラント治療ガイド:監修 松本デンタルオフィス東京 』
監修:松本デンタルオフィス東京
所在地:東京都東大和市清原4丁目10−27 M‐ONEビル 2F
電話:042-569-8127
*監修者
医療法人社団桜風会 松本デンタルオフィス
院長 松本圭史
*経歴
2005年 日本大学歯学部卒業。2005年 日本大学歯学部歯科補綴学第Ⅲ講座 入局。
2006年 日本大学歯学部大学院 入学。2010年 同上 卒業。
2010年 日本大学歯学部歯学部歯科補綴学第Ⅲ講座 助教
2013年 日本大学歯学部歯学部歯科補綴学第Ⅲ講座 専修医
2016年 医療法人社団桜風会 松本デンタルオフィス 新規開院
*所属学会
・日本補綴歯科学会
・日本口腔インプラント学会
・日本歯科審美学会
・日本顎咬合学会
*スタディグループ
・5-D Japan
・Esthetic Explores
詳しいプロフィールはこちらより