1. インプラントは金属製…でも大丈夫?
金属アレルギーがある方の“漠然とした不安”
インプラント治療を検討している方のなかには、「インプラントって金属ですよね?」「金属アレルギーがあるんですが大丈夫でしょうか?」といった不安をお持ちの方が少なくありません。
特にアクセサリーや時計の金属で皮膚が赤くなる経験をしたことがある方にとって、体の中に金属を埋め込むという治療は、どうしても抵抗を感じやすいものです。
インプラントは、歯を失った箇所に人工歯根(インプラント体)を埋め込むことで、天然歯に近い機能性と美しさを再現できる優れた治療法ですが、主に「チタン」という金属が使われています。
この「チタン」が自分の体に合うのかどうか、実際に治療を受ける前に知っておきたいという方が増えているのは、当然の流れといえるでしょう。
インプラント治療に使われる“チタン”の特徴とは?
では、インプラントに使われている「チタン」とはどのような金属なのでしょうか?
チタンは、医療の現場でもっとも多く使用されている生体親和性の高い金属です。
整形外科での骨折治療や人工関節、心臓のペースメーカーなどにも使われており、人体への影響がきわめて少ないことで知られています。
チタンの特徴は、体液や唾液に触れても腐食しにくく、安定した状態を長期間維持できること。そして、骨との結合性に優れ、「オッセオインテグレーション」と呼ばれるメカニズムによって、骨としっかりと結びつくため、高い強度と持続性を実現できます。
こうした特性から、インプラント治療ではチタンが長年にわたり「標準的な素材」として採用されてきました。これまで世界中で何百万件もの症例があり、成功率も高く、安心して使える実績ある素材といえるでしょう。
ただし、「アレルギーを起こしにくい」=「絶対にアレルギーが起きない」わけではありません。
非常に稀ではあるものの、チタンに反応してアレルギー症状が出る方も報告されています。これは、金属アレルギーの感受性や体質が人によって異なるためであり、「自分は大丈夫だろうか」と心配になるのも無理はありません。
なぜ今、メタルフリーインプラントが注目されているのか
こうした背景から近年注目を集めているのが、「メタルフリーインプラント」という新しい選択肢です。
これはその名の通り、金属を一切使わないインプラントで、主に「ジルコニア」というセラミック系の素材を使用しています。ジルコニアは人工ダイヤとも呼ばれるほど硬く、人体への親和性も高いため、インプラント体としての使用が徐々に広まりつつあります。
特に、金属アレルギーの不安を抱える方や、見た目の自然さを求める方からは、高い関心が寄せられています。
また、金属を一切使用しないことで、歯ぐきの黒ずみや炎症リスクを軽減できる点も、メタルフリーインプラントが支持される理由のひとつです。
もちろん、すべての方にメタルフリーインプラントが必要というわけではありません。
重要なのは、「金属に不安を感じる方に、安心して選べる選択肢がある」ということです。
治療前のカウンセリングやアレルギー検査を通じて、ご自身に最適な素材を選び、納得のいく治療を受けることが何よりも大切です。
当院では、チタン製インプラントはもちろん、ジルコニア製のメタルフリーインプラントも取り扱い、患者様の体質やご希望に応じた最適な治療計画をご提案しております。
「金属が心配」「できれば使いたくない」という方も、どうぞお気軽にご相談ください。
次回は、金属を使わない新しいインプラント治療「メタルフリーインプラント」について、さらに詳しくご紹介いたします。
2. そもそも“メタルフリーインプラント”って何?
金属を使わない新しいインプラント材料の登場
「メタルフリーインプラント」とは、その名の通り“金属を一切使わない”インプラント治療のことを指します。従来のインプラントではチタンという金属が標準的に使用されてきましたが、近年では金属アレルギーに対する不安や、審美性(見た目)の向上を目的に、金属を含まない素材によるインプラントが開発・導入されるようになりました。
この新しいインプラント素材に使用されているのが、歯科ではすでにセラミッククラウンなどで実績のある「ジルコニア」です。ジルコニアは白くて透明感があり、非常に硬く生体親和性にも優れていることから、近年は“チタンに代わる次世代素材”として注目されています。
従来のインプラント体は金属色(グレー)であるため、歯ぐきが薄い方や、歯肉退縮が起こった際に金属色が透けて見えてしまう懸念がありました。これに対してジルコニアは白色で自然な色調をしているため、特に前歯部での審美性に優れています。これもメタルフリーが求められる理由のひとつです。
主に使われているのは“ジルコニアインプラント”
ジルコニアインプラントとは、ジルコニウム酸化物を安定化させたセラミック素材(Y-TZP)でできたインプラント体のことを指します。このジルコニア素材は、人工関節や医療用器具でも広く使われており、高い生体適合性と耐久性を兼ね備えていることで知られています。
ジルコニアインプラントの最大の特長は、金属イオンが溶出しないこと。金属を体内に埋入することに不安を感じている方にとって、“金属を一切使わない”という点は大きな安心材料になります。
また、ジルコニアはプラーク(歯垢)がつきにくく、歯ぐきに優しい素材です。これは、術後のインプラント周囲炎のリスクを低減するうえでも非常に重要なメリットであり、長期的なインプラントの安定性にも関わってきます。
金属アレルギーリスクゼロを目指す治療選択
メタルフリーインプラントの最大の目的は、「金属アレルギーの不安を完全になくすこと」です。金属アレルギーは個人差が大きく、気づかないうちに蓄積されるケースもあります。歯科用金属は長期間にわたり体内に存在するため、ごく微量な金属でも敏感な方にとっては反応を引き起こす可能性があるのです。
ジルコニアインプラントは金属を使用しないことで、こうしたリスクを根本から排除し、「完全にアレルゲンフリーな環境」を実現します。また、金属を使わないことで歯ぐきの黒ずみも防ぎやすくなり、美容・審美の観点でも安心感が広がります。
特に、過去に皮膚科で金属アレルギーを指摘された経験のある方や、ネックレスやピアスで肌が荒れた経験のある方には、メタルフリーインプラントは有力な選択肢となるでしょう。
なお、当院では金属アレルギーの有無をより正確に知るために、必要に応じて皮膚科でのパッチテストや歯科医師による問診・検査を行い、事前にリスクを確認したうえで治療計画を立てています。
メタルフリーインプラントはまだ新しい選択肢ではありますが、審美性・安全性を重視したい方には非常に魅力的な治療法です。「金属が心配」「自然な見た目にしたい」とお考えの方は、まずはご相談ください。
3. チタンとジルコニア、それぞれの違いと特長
チタン製インプラント:安定性と実績の高さ
現在、インプラント治療の主流は「チタン製インプラント」です。これは数十年にわたり世界中で使用されてきた実績があり、研究データも豊富で、安全性と信頼性の高さが大きな魅力です。
チタンは金属でありながら、非常に生体親和性が高く、体内で異物として排除されにくい性質を持っています。そのため、顎の骨としっかりと結合(オッセオインテグレーション)し、まるで自分の歯のような強固な土台を再現できます。
また、チタン製インプラントは柔軟性もあり、噛む力を適度に分散させることができるため、強い咬合力がかかる奥歯の治療にも適しています。材質の特性上、手術や上部構造との連結にも安定感があり、ほとんどの症例に対応できる万能型といえるでしょう。
ジルコニアインプラント:審美性と金属不使用の安心感
一方で、近年注目されているのが「ジルコニア製インプラント」です。ジルコニアとは、セラミックの一種で、金属を一切含まない“メタルフリー”のインプラント体として開発されました。
最大の特長は、金属アレルギーのリスクが理論上ゼロに近く、アレルギー体質の方や、金属を避けたいという希望を持つ方にも安心してご使用いただける点です。また、白い素材であるため、歯ぐきが薄い方や、前歯に使用しても金属色が透けて見えることがありません。これにより、より自然で美しい仕上がりが可能となります。
さらに、ジルコニアは非常に硬く、耐摩耗性にも優れているため、長期的な使用にも向いています。ただし、硬すぎるゆえに加工が難しく、治療の際に高い技術が必要とされる点や、症例によっては適応が限定されることもあります。
どちらが優れている?ではなく“適した選択”が重要
「結局どちらが良いのか」と迷われる患者様も少なくありません。しかし大切なのは、「どちらが優れているか」ではなく、「患者様の体質や希望、治療部位にどちらが適しているか」という視点です。
たとえば、過去に金属アレルギーの経験がある方や、前歯の審美性をとことん追求したい方にはジルコニアインプラントが適している可能性があります。逆に、奥歯のように咬合力が強くかかる部位や、骨との結合性・術後の安定性を重視したい場合は、実績豊富なチタンインプラントが優位となることもあります。
当院では、どちらか一方の素材を推すのではなく、事前にCT検査やアレルギー検査などを行い、患者様の全身状態とご希望を丁寧にお伺いしたうえで、最適なインプラント素材をご提案しております。
チタンにもジルコニアにも、それぞれにしかない“強み”があります。
だからこそ、経験豊富な医師による正確な診断と、素材の特性を理解したうえでの治療計画が、成功の鍵を握るのです。
4. 金属アレルギーが心配な方へ
皮膚のかぶれだけでない、全身への影響とは
金属アレルギーというと、「ネックレスで首が赤くなった」「ピアスで耳がかぶれた」といった皮膚トラブルを思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、歯科治療で使われる金属が原因となるアレルギー反応は、必ずしも口腔内に限られるわけではありません。
体内に入った金属がイオン化して体内に蓄積し、免疫系がそれを“異物”と認識することで、全身に湿疹・倦怠感・頭痛・舌痛症など、非特異的な症状が現れるケースもあります。これを「遅延型金属アレルギー」と呼び、診断が難しいケースも多く見られます。
つまり、「口の中には症状がないのに、体調不良が続く」といった状況において、実は歯科用金属が関与していたということもあり得るのです。
チタンでもまれにアレルギーを起こすことがある?
インプラントに広く用いられる「チタン」は、非常に生体親和性の高い金属として知られており、これまでに多くの症例で問題なく使用されてきました。しかし、極めて稀ではあるものの、チタンに対してもアレルギー反応を示す方が存在することが報告されています。
例えば、既に他の金属(ニッケル、コバルト、パラジウムなど)でアレルギーを経験したことがある方や、皮膚疾患の既往歴がある方は、体質的にチタンに反応する可能性が否定できません。
また、「チタン純度100%」であっても、ごく微量に含まれる他の元素や、金属と接触する周囲の環境(唾液中のイオン濃度など)によって、体内で反応が引き起こされることも考えられます。
パッチテストや血液検査など、事前の確認が安心につながる
こうしたリスクを回避するために、当院では「金属アレルギーが心配」という方に対して、インプラント治療を行う前にアレルギー検査をご案内しています。
具体的には、皮膚科などで行われる「パッチテスト」や、より詳細な反応を調べる「金属アレルギー血液検査(リンパ球刺激試験)」などがあります。これにより、チタンやその他の金属に対して過敏性がないかを事前に把握することが可能です。
また、検査の結果によっては、金属を一切使用しない「ジルコニアインプラント」や、上部構造においても金属不使用のセラミッククラウンを用いた“完全メタルフリー”の治療プランをご提案することができます。
金属アレルギーの不安をお持ちの方にとって、歯科治療に使われる材料の選択は健康に直結する大きな問題です。
「大丈夫だろう」と不安を抱えたまま治療を進めるのではなく、事前の情報と検査によって、“本当に安心できる素材選び”を行うことが、後悔しないインプラント治療につながります。
5. 見た目重視派にも人気のメタルフリー治療
金属を使わないから歯ぐきが黒ずまない
インプラント治療では、「しっかり噛めるようになること」だけでなく、「見た目の美しさ」も重要な要素として注目されています。特に前歯のように“人に見える部分”にインプラントを入れる場合、素材の選択が美しさに直結します。
チタン製インプラントは非常に高い安定性を誇りますが、まれに歯ぐきの薄い方では、金属色が透けて見えたり、歯ぐきが黒ずんだように見えるケースがあります。これを“メタルシャドウ”と呼び、美容面で気にされる方が多いのです。
一方で、ジルコニア製のインプラントは白色のセラミック素材で構成されているため、歯ぐきに透けても不自然さがありません。また、長年の使用により歯ぐきが下がった場合でも、露出した部分が白いため、見た目の違和感が少なく、審美性を損なわないというメリットがあります。
前歯の審美性を重視する方におすすめ
前歯の治療では、単に「歯がある」だけでは満足できません。多くの患者様が求めるのは、「まるで自分の歯のように自然な見た目」。そのため、色合いや透明感、歯ぐきとのなじみまで細部にこだわる必要があります。
ジルコニアインプラントは、その色調や光の透過性が天然歯に近く、自然な仕上がりを実現しやすい素材です。従来の金属製インプラントでは難しかった「白さと透明感の両立」を可能にし、審美歯科の領域でも高く評価されています。
さらに、上部構造にオールセラミックを使用することで、金属を一切使わない“完全メタルフリー”の補綴物が完成し、より審美的で自然な笑顔を演出できます。
天然歯のような透明感を再現できる素材とは
審美性を重視する方にとって、特に重要なのが「透明感」。天然の歯は、表層と内層で微妙に光の透け方が異なり、それが立体的な印象や自然な美しさを生んでいます。
ジルコニアは、従来のセラミックに比べて強度が高いだけでなく、加工技術の進化により透明感を持つ「高透過ジルコニア」も登場しています。これにより、前歯の自然な色調を細やかに再現することが可能となりました。
また、歯科技工士の手によって色味や表面のテクスチャまでオーダーメイドで設計できるため、自分の歯と区別がつかないほどの仕上がりが得られます。審美性にこだわる方ほど、ジルコニアをベースとしたメタルフリー治療の価値を実感されることが多いのです。
金属を使わないインプラント治療は、ただ“アレルギーに強い”というだけでなく、“見た目にも美しい”という点で多くの支持を集めています。
特に、若い方や女性、接客業など人と接する機会の多い方にとって、自然な笑顔と自信を取り戻すための選択肢として、メタルフリー治療は非常に魅力的なオプションとなっています。
6. インプラント+上部構造=メタルフリーが完成
インプラント体だけでなく、かぶせ物の素材にも注意
「メタルフリーインプラント」と聞くと、インプラント体そのものが金属でないことだけを想像される方も多いかもしれません。しかし、実際に「口に見える部分」となるのは、インプラント体の上に装着される“上部構造”と呼ばれる人工の歯です。
この上部構造の素材にも金属を使ってしまうと、たとえインプラント体がジルコニアであっても、完全なメタルフリー治療とは言えません。
そのため、金属アレルギーの不安がある方、あるいは審美性を最優先したい方にとっては、「インプラント体+上部構造」の両方をメタルフリー素材で統一することが理想的といえます。
ジルコニア・セラミックの上部構造のメリット
上部構造に用いられる素材にはいくつか種類がありますが、メタルフリーを追求するのであれば、「ジルコニア」や「オールセラミック」がおすすめです。
ジルコニアは耐久性に優れ、奥歯のように強い咬合力がかかる部位にも対応できる素材です。一方、オールセラミック(e.maxなど)は審美性に優れ、前歯のように美しさが求められる部位に適しています。
これらの素材は、いずれも金属を一切含まず、自然な透明感や歯ぐきとのなじみが非常に良いのが特長です。また、金属による腐食や歯ぐきの変色(ブラックマージン)といった長期的な審美トラブルも回避できます。
“完全メタルフリー”で口腔内トラブルを未然に防ぐ
メタルフリー治療が注目されている背景には、見た目の美しさや金属アレルギーの回避だけでなく、「将来のトラブル予防」という観点もあります。
金属素材は長期間の使用により唾液との化学反応でイオン化し、体内に微量の金属が取り込まれることがあります。このような微細な刺激が、アレルギー反応や全身の不定愁訴(原因不明の不調)につながることも報告されています。
さらに、金属製の被せ物は経年劣化により変色したり、歯ぐきとの境目が目立つようになったりするケースもあります。その点、ジルコニアやセラミックは長期にわたって美しさを保ちやすく、安心して使用できる素材です。
完全メタルフリーのインプラント治療とは、単にチタンを使わないということではありません。
「インプラント体(人工歯根)」も「上部構造(人工歯)」も、そして「アバットメント(接続部)」も含めてすべて金属を使用せずに構成することで、ようやく“真のメタルフリー”が実現されます。
当院では、金属を使わずとも高い機能性と美しさを備えた治療を提供するため、患者様のご希望と症例に応じた素材選択を行っています。
「アレルギーが心配」「審美性を最優先したい」「長く安心して使いたい」――そうお考えの方にこそ、完全メタルフリーという選択肢をおすすめしています。
7. こんな方にはメタルフリーインプラントが向いています
金属アレルギーがある、または心配な方
これまでにピアスや腕時計、歯科金属でかぶれた経験のある方は、金属アレルギーの可能性があります。
また、過去にアレルギー症状がなかったとしても、金属は長期間体内に留まることで感作(アレルギー体質の発現)を起こす可能性があり、将来的に体調不良の原因となるリスクもあります。
インプラントは体内に埋入される医療機器ですから、金属アレルギーの有無に関わらず、「できるだけ金属を避けたい」と考える方にとって、ジルコニアを使用したメタルフリーインプラントは非常に有効な選択肢といえます。
審美性を重視し、前歯にインプラントを検討している方
特に前歯のインプラント治療においては、審美性が非常に重要視されます。
チタン製インプラントや金属を使用した上部構造は、長期間の使用によって歯ぐきの縁に黒ずみが生じる「ブラックマージン」の原因になることがあります。これは歯ぐきが薄い方や、加齢により歯ぐきが下がってきた場合に特に目立ちやすい現象です。
その点、ジルコニアインプラントとオールセラミックの上部構造で構成されたメタルフリーインプラントは、光の透過性に優れ、天然歯のような透明感を再現できます。
自然な白さと色調のコントロールが可能であり、周囲の歯との調和が取りやすいため、前歯にインプラントを希望される方にとって最適な治療法の一つです。
健康志向・ナチュラル志向の高い方
「口の中にも“身体に優しい素材”を選びたい」「自然由来のものを選びたい」
このように、健康志向やオーガニック志向をお持ちの方にも、メタルフリーインプラントは高い支持を得ています。
ジルコニアは人工ダイヤモンドの一種として知られる素材で、耐久性と生体親和性が極めて高く、医科の分野でも股関節や関節置換などで使用されています。
金属を一切使用しない安心感、さらには長期にわたって腐食や変色が起きにくいという特性も、ナチュラル志向の方々にとって大きな魅力です。
また、電磁波への感受性や口腔内の化学反応への懸念など、より繊細な体質の方からも「メタルフリーで治療できる歯科医院を探していた」といったご相談を多くいただいています。
このように、メタルフリーインプラントは単に「金属アレルギーがある人」のためのものではありません。
見た目、健康、安全性、そしてライフスタイルや価値観に至るまで、「自分に合った選択をしたい」と考えるすべての方に向けた、これからの時代の新しいインプラント治療なのです。
当院では、カウンセリング時に金属アレルギーの有無や健康状態、審美性の希望などを丁寧にヒアリングし、患者様のご要望に最適な素材をご提案しています。
メタルフリー治療が気になる方も、「まだ迷っている」という方も、まずはお気軽にご相談ください。
“金属に頼らない”という選択が、あなたの口元と全身の健康を守る第一歩になるかもしれません。
8. メタルフリーインプラントの注意点
保険適用外のため、費用がやや高め
メタルフリーインプラント、特にジルコニア製のインプラント体やオールセラミックの上部構造は、すべて自由診療となるため、一般的なチタン製インプラントに比べて費用が高くなる傾向があります。
ジルコニアという素材自体が高価であるうえに、加工の難易度が高く、精密な設計・製作技術が必要とされるため、どうしても治療費に反映されます。
また、インプラント体だけでなく、その上に装着されるかぶせ物もセラミックやジルコニアで統一する場合、“完全メタルフリー”を実現するにはトータルでそれなりの費用がかかると認識しておく必要があります。
ただし、長期的な健康リスクの回避や審美的な満足感を得られることを考えれば、「予防的な投資」として納得される患者様も多くいらっしゃいます。
症例数が少なく、すべての医院で扱っているわけではない
ジルコニアインプラントは、欧米では少しずつ導入が進んでいる一方、日本国内ではまだ症例数が少なく、すべての歯科医院で取り扱っているわけではありません。
そのため、「どこでも受けられる治療」ではなく、技術的な対応力や症例実績を持つ医院を見極めて選ぶことが重要です。
また、ジルコニアインプラントはチタンと異なり“1ピース構造”である場合が多く、手術や補綴(かぶせ物)の設計において経験とノウハウが求められます。
インプラント治療の経験が豊富な医師であっても、ジルコニア特有の設計・装着ノウハウを熟知していなければ、十分な結果を得られないこともあるため、事前に医院の症例数や対応実績を確認することをおすすめします。
噛む力が強くかかる部位には向かない場合も
ジルコニアは強度に優れた素材ですが、“しなり”が少ないという特性があります。
そのため、強い噛みしめや歯ぎしりの癖がある方、または奥歯など噛合せ圧が強くかかる部位では、破折や脱離のリスクがゼロではありません。
このようなケースでは、あえてチタン製インプラント+金属フレーム併用のかぶせ物を選択する方が、安全性・耐久性の面で適している場合もあります。
“メタルフリーであること”だけを優先するのではなく、噛み合わせ・力の分散・患者様の生活習慣などを総合的に考慮し、最も安心できる治療法を選ぶことが大切です。
さらに、インプラントに限らずセラミック治療全般に言えることですが、非常に繊細な噛み合わせ調整が求められるため、術後の定期的なチェックやプロフェッショナルメンテナンスも重要です。
せっかく金属を避けたとしても、装着後の咬合バランスが悪ければトラブルの原因となりかねません。
そのため、メタルフリーインプラントを検討する際は、「素材」だけでなく「治療環境」「技術力」「メンテナンス体制」にも注目して医院選びを行いましょう。
当院では、メタルフリーインプラントをご希望の方にも、事前に十分なご説明と検査を行い、患者様のご希望と医学的見地の両面から“最適な選択肢”をご提案しています。
金属アレルギー対策だけでなく、審美性・機能性・長期安定性を重視したい方も、どうぞ安心してご相談ください。
9. 当院でのメタルフリー治療の取り組み
ジルコニアインプラントやセラミック素材の取り扱い
当院では、金属アレルギーに配慮した“メタルフリー治療”にも積極的に取り組んでいます。
具体的には、金属を一切使用しない「ジルコニアインプラント」をはじめ、上部構造においてもジルコニアクラウンやオールセラミックなど、非金属素材での治療設計が可能です。
ジルコニアは生体親和性が高く、骨や歯ぐきとのなじみも良いため、金属アレルギーをお持ちの方や、見た目の美しさにこだわりたい方にも適しています。
また、当院では使用する材料のロット管理や原材料情報も徹底しており、安心して治療を受けていただける環境を整えています。
アレルギーリスクを避けたい方への事前検査
「金属にアレルギーがあるか不安」「以前、歯科治療で肌荒れやかゆみが出たことがある」という方には、事前にアレルギーの有無を確認する検査をご提案しています。
当院で実施可能な検査には、皮膚科と連携した“パッチテスト”や、“金属アレルギー血液検査”などがあり、金属に対する過敏症の有無を科学的に確認できます。
チタンアレルギーは稀とはいえ、ゼロではありません。
そのため、症状が出やすい体質の方や、心配な既往歴がある場合には、慎重な確認とカウンセリングを経て、最適な素材を選択してまいります。
ご希望に応じた素材選択と安心のご提案体制
当院では、患者様一人ひとりのご希望やお悩みにしっかり耳を傾けたうえで、素材や治療方法をご提案しています。
「将来の健康を考えてメタルフリーにしたい」「人前に出る仕事なので、見た目にこだわりたい」
そうした想いを丁寧にヒアリングし、インプラント体や上部構造、補綴物の設計に至るまで、すべての工程で“安心・安全・審美性”を両立させたプランをご案内しています。
また、メタルフリー治療では噛み合わせや力のバランスが非常に重要です。
当院では歯科用CTによる三次元診断に加え、咬合分析やデジタル設計を取り入れ、精密かつ再現性の高い治療を行っています。
患者様の健康を第一に、そして長期にわたる満足度を追求するため、当院では常に「医学的根拠に基づいた治療」と「患者様との信頼関係」を重視しています。
メタルフリー治療は、単なる流行ではなく、より良い医療を目指すひとつの選択肢であり、今後ますます重要性が増していくと考えています。
「金属に不安がある」「どの素材を選べばいいか分からない」と感じている方も、どうぞご安心ください。
当院では、カウンセリングから診断、治療、アフターフォローまでを一貫して行い、あなたの健康と美しさを長期にわたりサポートしてまいります。
金属アレルギーの有無に関わらず、すべての患者様にとって快適で安全な治療を。
それが私たちの考える“本当のメタルフリー歯科治療”です。
10. 金属に頼らない未来のインプラント治療へ
安心・安全・美しさを追求したメタルフリーという選択
これまで歯科インプラントといえば、「金属=チタン」を使った治療が一般的でした。
チタンは生体親和性が高く、長年の臨床実績から“安全性の高い素材”として信頼されてきましたが、現代の歯科医療では、さらに一歩踏み込んだ「メタルフリー」という選択肢が登場しています。
メタルフリーとは、金属を一切使用せず、体に優しく、審美的にも優れた素材で治療を行うことを意味します。
特に注目されているのが、ジルコニア製のインプラント体や、オールセラミックによる補綴物。これらは金属アレルギーの心配がなく、歯ぐきが黒ずむこともありません。
金属を使わないことで、身体への負担やリスクを最小限に抑え、かつ自然で美しい仕上がりが実現できる――それが、次世代のインプラント治療です。
健康を守る歯科医療の新基準として広がる可能性
現代の歯科治療において、単に「噛めるようになればいい」という考え方は、すでに過去のものとなりつつあります。
今、多くの患者様が求めているのは、「機能性」だけでなく、「見た目の美しさ」や「健康面への配慮」といった、総合的な満足感です。
メタルフリー治療は、まさにこのニーズに応える新たなスタンダードとして注目されています。
金属アレルギーを持つ方への対応だけでなく、ナチュラル志向・オーガニック志向の高まり、審美歯科への関心の増加も、こうした流れを後押ししています。
さらに、ジルコニアやセラミックなどの非金属素材は、汚れがつきにくく、プラークの付着を抑える性質があるため、長期的な口腔内環境の維持にも有利です。
まずは“金属が心配”という不安からご相談ください
「自分は金属アレルギーかどうか分からないけど、なんとなく不安…」
「以前、歯科金属で違和感があった」「審美性を重視したい」
そのような思いをお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。
当院では、専門のドクターが丁寧にお話を伺い、必要に応じてアレルギー検査やCT診断を行いながら、患者様に最適な治療プランをご提案いたします。
メタルフリーに限らず、チタン製インプラントも含め、すべての素材の特長・適応・費用についてしっかりとご説明したうえで、納得のいく治療を進めてまいります。
また、当院は「無理のない治療」「生活に寄り添う治療計画」を大切にしています。
治療にかかる期間や通院回数、ご予算なども含めて細やかに対応し、安心して治療をスタートできるよう全力でサポートいたします。
金属を使わないインプラント治療は、まだ新しい分野ではありますが、患者様の健康と満足を第一に考える歯科医療の未来像そのものです。
機能・美しさ・安全性をすべて叶える選択肢として、ぜひ“メタルフリー”という可能性を知っていただきたいと願っています。
「この素材で本当に大丈夫なのか?」「将来まで安心できる治療を受けたい」――
そう思ったときが、最初の一歩を踏み出すタイミングです。
私たちは、その一歩に丁寧に寄り添い、あなたの不安を“信頼”と“安心”に変えていく歯科医院でありたいと考えています。
『 東京審美インプラント治療ガイド:監修 松本デンタルオフィス東京 』
監修:松本デンタルオフィス東京
所在地:東京都東大和市清原4丁目10−27 M‐ONEビル 2F
電話:042-569-8127
*監修者
医療法人社団桜風会 松本デンタルオフィス
院長 松本圭史
*経歴
2005年 日本大学歯学部卒業。2005年 日本大学歯学部歯科補綴学第Ⅲ講座 入局。
2006年 日本大学歯学部大学院 入学。2010年 同上 卒業。
2010年 日本大学歯学部歯学部歯科補綴学第Ⅲ講座 助教
2013年 日本大学歯学部歯学部歯科補綴学第Ⅲ講座 専修医
2016年 医療法人社団桜風会 松本デンタルオフィス 新規開院
*所属学会
・日本補綴歯科学会
・日本口腔インプラント学会
・日本歯科審美学会
・日本顎咬合学会
*スタディグループ
・5-D Japan
・Esthetic Explores
詳しいプロフィールはこちらより